常陸大宮市で頑張る農家さんにインタビューVol.6 梶山肇司さん・昭子さん
- 谷部文香
- 2022年7月5日
- 読了時間: 5分
更新日:2022年12月6日

県北・県央の5市町村(常陸大宮市、大子町、常陸太田市、那珂市、ひたちなか市)の各JA常陸なす部会で栽培され、市場へ出荷される「奥久慈なす」。
昼夜の大きな寒暖差の中で育つ「奥久慈なす」は、濃い紫色の柔らかい皮と引き締まった実という特性を持つことから、市場からも高く評価され、”黒いダイヤ”と呼ばれています。
今回はナス栽培のベテラン、梶山肇司(かじやまとうじ)さん・昭子(あきこ)さんご夫妻の畑にお邪魔し、お話を伺いました。
――長年ナスの栽培をされているとお伺いしました。ナス栽培を始めてどのくらいですか。
肇司さん:
最初は産地というわけでなく、自家用で作っていました。奥久慈地域はもともときゅうりの産地でしたが、時代のニーズに合わせて作るものも変化していきました。ナス以外にもかぶやソラマメ、パセリなども作りましたよ。
ナス専門になったのは、定年してからなので、平成4(1992)年です。

――平成4(1992)年からというと30年ですね。ナス以外にも作られていたとのことですが、なぜナスを専門的に扱おうと思ったのでしょうか。
肇司さん:
その当時、奥久慈地域に何か一つブランドを作りたいという話がありました。ナスを扱っている農業者が多かったですし、何か一つ皆で作り上げられたらこの地域も盛り上がりますよね。そこで「奥久慈なす」という名前でナスのブランドを作ることになりました。今では県から銘柄産地として指定を受けました。
――皆で何か一つのブランドを盛り上げるというのは素敵ですね。長年ナスを栽培し、梶山さんならではのナスの育て方はあるのでしょうか。
肇司さん:
一番のポイントは「ナスと対話すること」だと思います。朝、ナスの様子を見に行くと、水が欲しい、肥料が欲しいといったように、ナスが求めていることが分かるんです。
――ナスと話をすることができるんですね。いつから分かるようになったのですか。
肇司さん:
これは経験だと思います。毎日顔を合わせて、愛情をかけて育てていると自然と分かるものです。ナスを収穫するのにも、ぶら下がっているものを見て、このナスは80g、90gといったように、重さを見て収穫できないといけないです。また、剪定するにもナスをしっかり見ないといけませんね。
そのほか、最近思うのは、毎日ナスと対話するので、孫のようで可愛いです。ナスはいつからか私の家族みたいなものですね。

――「孫のよう」という表現が良いですね。本当に楽しそうにお話しをされるので、ナスが好きなのだと改めて思いました。
肇司さん:
ありがとうございます。嫌だと思いながら栽培するくらいならやらない方がいいです。ナスの怒った表情、笑った表情、さまざまな表情が見られるのも楽しいですよ。毎日手入れをして、話をして、育っていくナスを見るのは幸せです。
――愛情をたっぷりとかけて栽培するからこそ、美味しいナスが育つのだと思いました。ナスの選び方にもポイントがあるのでしょうか。
肇司さん:
小ぶりのナスが美味しいです。そのほか、ナスの切り口を見るとだいたい分かります。鮮度の良いナスは、ヘタの先の切り口が緑色に近く、みずみずしいです。一日置くと段々と水分がなくなってしまうので、新鮮なうちに食べることをおすすめします。

――切り口を見ると良いのですね。「奥久慈なす」を使ったおすすめの料理はありますか。
昭子さん:
私は、凝った料理よりもナスそのものの味を楽しめる、シンプルなものが好きです。以前テレビ局が取材に来た際は、2つに切ったナスを焼いて、味噌と砂糖、お酒に絡めた、簡単なものを提供したのですがこれがシンプルで美味しいんです。
そのほか、醤油ベースの味付けをしたおしんこもシンプルでご飯と合い、おすすめです。
――ご飯が進みますね!最後になりますが、定年してからも「奥久慈なす」の専門として農業を続けられる、その原動力を教えてください。
肇司さん:
昔から「まずはやってみる」という気持ちで何事も取り組んでいました。常にさまざまなことに好奇心があったんです。農協で進められたものは、とりあえず挑戦していました。パセリを栽培していたときは、静岡県まで視察に行きましたし、「奥久慈なす」についても四国へ視察に行って勉強しました。「まずはやってみる」の気持ちで取り組むと、どんなことでも面白くなるんですよ。いくつになっても挑戦する気持ちが大切だと思います。
――挑戦する気持ちを持ち続けられるのが素晴らしいことだと思います。本日はお忙しいところインタビューを引き受けてくださりありがとうございました。
取材・文・写真 常陸大宮市地域おこし協力隊 谷部 文香
梶山肇司さん・昭子さんへのインタビューを終えて

私が梶山ご夫妻に出会ったのは、2022年2月上旬。初めて顔を合わせたときより感じたのは、穏やかで優しい雰囲気。「ナスの収穫時期になったらまた遊びに来て」と声をかけていただき、5月中旬、再びお二人の畑にお邪魔しました。
ご夫妻のことや「奥久慈なす」について話をしっかりと聞くのは、この日が初めてでしたが、インタビュー中に感じたのは、お二人がとにかく楽しそうにされていること。楽しみながら「奥久慈なす」を育てていることが伝わり、インタビュアーの私もとても楽しい時間を過ごさせていただきました。いくつになっても楽しいこと、好きなことをする姿はきっと若い方たちにも勇気を与えてくれると思います。 この場をお借りして、改めまして、この度はお忙しいところインタビューを引き受けてくださりありがとうございました。
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