【パティスリークレール】姉妹でつくる、洋菓子とパンを通した「憩いの場」。
- 谷部文香
- 2022年7月25日
- 読了時間: 7分
更新日:2022年7月29日

子どもの頃からお菓子作りが好きだった聡子さんは、茨城県内の洋菓子店で修行を積み、2019年、地元である常陸大宮市・御前山で、パン担当の姉・躍子(ようこ)さんと共にお店を構えました。今回は、開業するまでの道のり、今後の夢など、さまざまなお話を聡子さんに伺いました。
「作ること」が好き!食品業界に携わることを夢見て

――「パティスリークレール」を開業して、もうすぐ5年と伺いました。パティシエになるのは子どもの頃からの夢だったのでしょうか。
子どもの頃、母親とクッキーを作ることがたまにあり、作ること・食べることが楽しくなりました。中学2年生になり、病気をして入院生活を送りました。高校に進学し勉強する中でいつも考えていたのは、「自分が本当に好きなことは何なのか」ということでした。そのときに感じたのは、私はやっぱりお菓子を作ることが好きということだったんです。
――なるほど。では、高校卒業後、製菓コースのある専門学校に進学をされたのでしょうか。
そうです。水戸市の製菓コースのある専門学校に進学し、2年間学びました。専門学校卒業後は、まずは学んだことをしっかり実践することが大事だと思い、つくば市の洋菓子店に就職をしました。
――そうだったのですね!つくば市の洋菓子店とはどのようにして出会いましたか。
洋菓子店との出会いは、入院生活を送っていたときです。つくば市の病院に入院しており、とにかく入院生活は退屈でした。その中で美味しいお店はどこだろうかとよく探していたんです。退院後は、その洋菓子店に実際に足を運びました。正統派で自分が一番好きな洋菓子店でした。
――「正統派の洋菓子」とはどんなものでしょうか。
「貫いている」そんな洋菓子です。ドイツ、オーストリア、スイスなどのお菓子やケーキをメインで扱っているお店でした。そういうお菓子が好きなオーナーなんです。今でもそのオーナーにはお世話になっています。新商品開発の際にアドバイスをいただいたり、なかなか買えない材料をそこで購入させてもらったり。オーナーに出会って、14年ほど経ちますが、今では気軽に相談できる、そんな間柄です。
「地元の人に喜んでもらいたい」と独立することを決意

――素敵な出会いですね!つくば市の洋菓子店で働いた後、御前山にお店を開いたのですか。
違います。つくば市で4年働いた後に、水戸の洋菓子店で2年働いたりと数店舗経験しています。実は、洋菓子店の路線を一度辞めて、コーヒーチェーン店で働いたこともあるんですよ。
――そうなのですね。洋菓子店の路線から一度変更した理由は何でしょうか。
自分の人生に何か役立つかもしれないと思ったことがきっかけです。これまでの洋菓子店での厳しい環境から一転して、そこは、褒めて伸ばすといった指導の仕方でした。もちろんそれが悪いとは思いません。ただ私としてはそれに違和感を感じました。特に大したことをしていないのに、なんでこんなにも私のことを褒めるのだろうと。このままではきっと次のステップには進めないと思いました。
コーヒーチェーン店では、店長とスタッフが数か月に一度、面談をする機会があります。そこで当時の店長に、「私はやっぱり作ることが好きです」と伝えました。もちろんそこでもドリンクを作るので「作ること」に変わりはありません。ただ私が好きな「作ること」は、スイーツやメニュー開発の「作ること」だったんです。そこでの経験を通して、何を作ることが好きなのか気付かされました。
――なるほど。コーヒーチェーン店の中でも開発部門などがあると思いますが、そちらへの異動は希望しなかったのでしょうか。
希望しましたが、なかなかの狭き門だと言われました。店長と話す中で、ここでは自分の好きなケーキ作りができない、どうしたらいいのかと思ったときに、自分で開発したいのなら自分のお店を持てばいいのではないかという考えに至りました。
――そういった経緯で自分のお店を立ち上げようと思ったのですね。お店の場所はどのようにして選びましたか。
他の地域での開業も一度は考えました。ですが、自分が生まれ育った御前山で、地元の人たちに喜んでもらえたら、それが何よりの幸せだと思ったんです。
確かに地元で開業して、多くのお客さんが来てくれるのだろうかという不安がないといったら嘘になります。ある意味で冒険だったのかもしれません。それでも自分のお店を持つなら、どうせやるなら地元だと、地元以外はありえないと思いました。
「みんなの憩いの場」になることを目指して

――素敵ですね!地元で開業をして良かったことはありますか。
このお店が地元の方の憩いの場になってほしいという想いがありました。今ではありがたいことに、地元の方だけでなく、看板を見て気になって入ってくれる方も増えました。そのほか、ゴルフ帰りに家族へのお土産にケーキやパンを購入してくれる人もいます。地元の方だけでなく、さまざまな方の憩いの場になっているのではと感じることがたくさんあります。
お店を持ったことで、同級生と再会する機会も増えました。親伝手で聞いて足を運んでくれたり、地元を出てしまった同級生も帰省した時に寄ってくれることも。地元の方の憩いの場になると思いましたが、私にとっても憩いの場になっているのかもしれません。
――きっと聡子さんの人柄だと思います。
ありがとうございます。コーヒーチェーン店で働いていた時もお客様と話すことが多かったのですが、もともと人と話すのが好きなんです。かしこまったお店ではなく、フランクに話せる、そんなお店に自然となっていったのだと思います。
オープンしてもうすぐ5年。人との出会い、つながりを大切に

――オープンしてもうすぐ5年だと思いますが、今後やっていきたいことがあれば教えてください。
開業して2年ほどで新型コロナウイルス感染症が流行しました。コロナ禍の世界では人と会うということが気軽にできなくなってしまったと思います。最近は、少しずつイベントも再開していますよね。イベントに出店することで、他の出店者やイベントに来てくださった人たちなど、そこで新しい出会いが生まれるのが嬉しいです。
その中で他の方から刺激を受けたり、新しい考え方に触れることで、私自身の成長にもつながります。出店するにはたくさんのケーキ・パンを作らないといけないので、大変ですがそれ以上に面白い出会いもあるので、今後も機会がある限り出店していきたいですね。
パティスリークレール・皆川聡子さんへのインタビューを終えて

聡子さんへのインタビューで感じたことは、洋菓子を作ることが本当に好きということ。好きなことを突き詰め、地元である常陸大宮市で開業したことは、これから地元で何かをしたいと感じている方々に勇気を与えてくれると思います。 また、聡子さん自身もおっしゃっていましたが、話をすることが好きなのだとか。そういった聡子さんの雰囲気や人柄も「パティスリークレール」がさまざまな方に愛される理由の一つなのだと思いました。また、当日は、聡子さんのそばに、姉・躍子さんも同席してくださいました。「私は恥ずかしいからインタビューは妹に。」とおっしゃっていましたが、インタビュー中に聡子さんが悩むと、さらっとパスを出す躍子さん。姉妹で支えあっている様子が見え、微笑ましく思いました。
この場をお借りして、この度は、お忙しいところインタビューを引き受けてくださりありがとうございました。
企画 常陸大宮市商工観光課 商工・企業誘致グループ
写真 常陸大宮市企画政策課 広報戦略グループ
取材・文 常陸大宮市地域おこし協力隊 谷部 文香
「パティスリークレール」店舗情報

住所:茨城県常陸大宮市野口3378-1
電話番号:0295-55-7337
営業時間:9:30~18:00
定休日:火曜日、第1・第3月曜日
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※2022年7月現在の情報です。
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